「プロプリオセプティブ・トレーニング」と聞いて、何を思い浮かべますか?
この言葉を検索すると、不安定な足場でバランスエクササイズをしている画像が何百枚も表示されます。こうした不安定な足場でのエクササイズは人気ですが、バランスやプロプリオセプション(固有受容感覚)の向上にどのくらい効果があるのでしょうか?

この記事では、「不安定な足場は関節の安定性を向上させるのに有効か」と「プロプリオセプションを向上させるためのより効果的なテクニック」についてお話しします。

 

プロプリオセプションとは?

運動感覚の認識と混同されがちですが、プロプリオセプション(固有受容感覚)は動きを駆動するメッセージです。例えば、関節包の中にあるプロプリオセプター(固有受容器=センサー)は、関節の位置情報を神経系に伝達し、それをもとに動きをコントロールします。

一方、運動感覚の認識とは「空間を移動する能力」と「自分の動きを認識すること」です。箱に飛び乗る「ボックスジャンプ」トレーニングをするとき、どのくらいの高さで跳べば足がぶつからないかを知るには、運動感覚の認識が必要です。

 

神経系の反応速度

動作のコントロールにおいて、神経系は刺激や感覚情報が中枢神経系に到達する速度と、運動反応が末梢神経系に送り返される速度に関与しています。従って、動作をコントロールする制限要因は感覚入力であることが分かります。つまり、神経系が刺激をより早く感じ取ることができれば、身体の動きはより速く、より正確になるということです。

 

末梢神経系(PNS)

刺激に反応するのは末梢神経系です。従って、この神経系がどのように枝分かれしているかを理解することは、最も効果的なプログラム作りに欠かせません。PNSは、感覚神経と運動神経に分かれています。脛骨神経(足底の皮膚や筋肉に刺激を届ける神経)を見てみると、この神経から枝分かれした感覚神経と運動神経の数の対比は3対1です。さらに、感覚神経の中にある小さな神経と大きな神経の数の対比は4対1です。

神経のサイズは、刺激に対する神経の反応速度に影響します。足首が反り返った瞬間を感知するとき、小さな神経の方が反応が速いという研究結果があります。さらに、主に足底の皮膚に存在するこれらの小さな神経が、静止姿勢に重要な役割を果たしていることも明らかになっています。

 

プロプリオセプティブ・トレーニングの未来

プロプリオセプティブ・トレーニングの未来を考えるとき、反応時間は動作の正確さにとって非常に重要です。私たちがプロプリオセプティブ・トレーニングと関連付けている不安定な足場の多くは、実際は大きな神経(反応時間が遅い)のトレーニング向けです。従って、反応時間を考慮するなら、より速いプロプリオセプティブ(固有受容)反応を得られる小さな神経を刺激するプログラムを作らなければなりません。そのためには、どの組織に小さな神経が存在するのか、そしてそれらを刺激する最も効果的な方法を知る必要があります。

小神経のプロプリオセプターが密集する組織

私のワークショップを受講したことがある人は、手のひらや足の裏に小さな神経のプロプリオセプター(固有受容器=センサー)が集中していることをご存じでしょう。これは、裸足でのトレーニングがすべての人にとって重要である最大の理由の一つです。興味深いことに、小さな神経のプロプリオセプターがさらに密集した組織があります。

どこだか分かりますか?

「筋膜」です!

筋膜にはプロプリオセプターが密集しており、現在の研究では、筋膜に存在する感覚神経の多くは、小神経と自由神経終末であることが明らかになっています。これは、筋膜が動きをコントロール・安定させるのに必要なスピードに影響を与えるという点で非常に興味深いといえます。

 

筋膜に関するもう一つの興味深い事実は、筋膜には筋肉の10倍の感覚神経があるということです。つまり、私たちが運動したり身体を動かしたりするとき、実際には「筋膜を感じている」のであって、「筋肉を感じている」のではないことを意味します。筋膜の緊張によって、私たちは動きや関節の位置感覚をよりよく認識することができるのです。

 

小さな神経を刺激する裸足での筋膜トレーニング

 裸足への刺激と足裏から体幹までの筋膜の緊張を組み合わせることで、クライアントのトレーニングやリハビリをより効果的に行うことが可能です。筋膜トレーニングは、プロプリオセプティブ・トレーニングの未来を担うものと信じています。

 

http://www.ebfafitness.com

#barefootstrong を実践しましょう!

エミリー・スプリカル博士

 

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