八王子みなみ野心臓リハビリテーションクリニックではCPX(心肺運動負荷試験)の処方に基づいて負荷を設定していますが、その他にも心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドラインより、運動処方の原則として有酸素運動と同様に頻度・強度・時間・種類・運動量・漸増(FITT-VP)を活用し、患者さんに合わせて取り組んでいます。

筋肉は心臓の補助になるので、筋肉量を増やすことはとても大切です。特に大きい筋肉を鍛えると、筋肉量アップに繋がり、筋肉の大きさに比例して代謝も上がるので脂肪が燃えやすい身体へと繋がります。また、血流促進効果やフレイル・サルコペニアといった健康障害の予防へとつながるので、心疾患のリスクをお持ちの方に関しては、レジスタンストレーニングは大切なポイントにもなります。

 

大きい筋肉は胸筋・背筋・腹筋・臀筋・大腿部であり、筋肉はおよそ60~70%は下半身にあると言われています。運動をあまり行わない人は、普段の生活で必要最低限の筋肉しか使わないため、使われない筋肉に神経が行き届かなくなり、次第に動きが悪くなってしまいます。また、年齢を重ねると筋肉は細くなりやすく(筋肉量が減りやすく)、自分の身体を真っすぐ支えることが難しくなります。反対に、筋肉はそれなりにあるのに、筋肉同士が協調しながら動かせていないなども見られます。

例えば、大腿部・臀部を鍛えられるスクワット(または立ち座り運動)は多くの関節を動かし、下半身の筋群はもちろんのこと、姿勢保持のためなどで腹筋や背筋といった体幹部も動員され、多くの筋肉を鍛えられる運動になります。さらに、足腰の耐久性が上がるので立ち座り動作がスムーズに行えたり、立位上体(立ち仕事)が楽に感じられたりなど、運動機能がアップ・疲れにくい身体へと繋がります。

下肢のトレーニング

そこで今回は下肢のトレーニングを中心にご紹介したいと思います。
例えば、スクワットでは「遠心性収縮」を意識したり(2秒で下げて4秒かけて上げる等)、フロントランジでは「息こらえ」に注意して行うことです(胸腔内圧が上がるため血流が悪くなってしまいます)。導入時は顕著な疲労なしに10~15回繰り返し行える強度が推奨されています。また、「運動の正しい方法や感触を覚える」や「筋と筋の間のコーディネーションの改善」などを目的として強度を軽め(例えば30%1RM)にして行うことも推奨されています。

 

さらに、パワープレートを使ってトレーニングをすると発揮筋力の向上、パワー発揮の向上、瞬発力(スピード)の向上、様々な負荷・スピードに対する対応力が上がる、代謝の向上効果があります。これらの効果により、身体の安定性を高め、姿勢の改善や基礎代謝アップなどへと繋がります。これらが総合的効果として減量やメタボ改善に寄与することで、動脈硬化や心臓疾患の予防に対して効果的であることなどが期待できます。