仰臥位または座位での安静時代謝量(resting metabolism)は1分間あたり1 kcalであり、立位になると約2 kcal、緩徐な歩行では約3~4 kcal、速足になると約6 kcal、ジョギング時に7~10 kcal、そしてrunning時に10~20 kcalとなる。

運動中のエネルギー消費(代謝)量や心拍数は強度依存的に増大し、体力(持久力)も強度依存的に高まる。持久力の指標である最大酸素摂取量は、強度(高め)×時間(長め)の組合せで増大する。

しかし、強度が高まるほど運動の継続が困難となる(心肺機能への負担が過度となる)ため、一定の強度ゾーン内で低強度と中強度のインターバルトレーニングが高齢者の体力増強手段として導入され、若年のアスリートの間では低中強度と高強度のインターバルトレーニングが推奨される。

低強度(4 kcal/分)での運動を1時間継続すれば、240 kcal/時の消費となるが、心拍数は上昇せず体力の向上は軽微に留まる。中高強度(12 kcal/分)と低強度(4~6 kcal/分)での運動を組み合わせると、半分程度の時間で同等量近くを消費でき、かつ心拍数と体力は効率的に(顕著に)高まる。

この方法をHIIT(high-intensity interval training)と呼んでおり、労働安全衛生研究所の松尾知明博士(スポーツ医学)らが精力的に研究している。

 

<以下、参考情報>

 

トレーニング時間が短いなら高強度(10~15分)

心臓事故の発生確率は低いものの危険性は増す、体力向上が顕著

トレーニング時間が中程度なら中高強度と低強度の組合せ(インターバル)(20~40分)

やや安全、脂肪燃焼促進、体力向上が顕著

トレーニング時間が長いなら低強度(60分以上)

安全、脂肪燃焼促進、体力向上が軽微

 

メタボリズム(代謝:metabolism)は、ミトコンドリア内でのエネルギー代謝を代表とする異化や、脂肪酸やタンパク質などの生合成である同化などの、細胞内での一連の化学反応を指す。異化とは、体内のタンパク質, 脂質, グリコーゲンなどを分解. し, エネルギーを産生することで・・・

同化とは、体内でエネルギーを使って、糖質、脂質、蛋白質、核酸などを合成する過程で、体の成長や維持に必要なもの。 同化がなければ、筋肉などのあらゆる生体構成成分を合成できず、生命として成立できない。 異化とは、糖質、脂質、蛋白質などを分解してエ ネルギーを得る過程である。

 

田中喜代次(筑波大学名誉教授、株式会社THF代表取締役)