生涯現役のテニスプレーヤーであるトニーさんは、現在50代半ば。以前ほどキレのないプレーが目立つようになるにつれて、ジムに通うことを考え始めました。ジムでのトレーニングが体力を取り戻し、体の節々に出てきた痛みを和らげてくれるかもしれないと思ったからです。
しかし、ジムのトレーナーはトニーさんが「このエクササイズは、負担がかかる。やりたくない。」と言わなければならない時も、その要望や過去に負った怪我の状況を考慮してはくれませんでした。
「とにかくトレーナーからは、『もっとやれ、もっと頑張れ』と言われ続けたので、ジムに通うのをやめました。自分の体力や身体能力に合わないトレーニングを続けていても、意味がないと思ったからです」とトニーさんは話します。
トニーさんが満足のいく結果を得るためには、本人の希望やレベルに合わせて、ワークアウトメニューを修正する必要があります。
人はそれぞれ個性があり、能力も違うのです。特に、人生も半ばを過ぎると、怪我や手術などを経験し、自分の能力を思うように発揮できなくなる人が多くなるものです。
これは何も本人自身の問題ではなく、十分に発揮できなくなったことを理由にトレーニングをやめる必要はありません。
そして、もしパーソナルトレーナーをつけるのであれば、安全性を確保しつつ、良いワークアウトができるようにメニューの内容を修正して提案してくれる人を選ぶことが大切です。
ワークアウトメニューを修正するということは、怪我や運動能力の低下、改善点にアプローチするために、トレーニング内容をその人に合うかたちで変更したり、代替えメニューを用意したりすることです。
こうした修正は誰に対しても必要になっていくでしょう。。怪我をしたトップアスリートを含め、体形の変化を経験したり年齢を重ねれば、誰もがいつかはそうなるものです。エクササイズをやめるということではなく、ただそのやり方を変えるということなのです。
例えば、腕立て伏せはその典型です。全身を使った腕立て伏せの場合、つま先と手をついて全可動域を使います。しかし、人によっては膝をつく必要があります。また、最初は壁に向かって腕立て伏せをすることからはじめ、徐々にレベルアップしていく人もいます。
これは、上半身の筋力のなさが原因かもしれません。また、怪我が原因である場合もあります。例えば、足の指の骨を切除する手術を受けた場合、その部分に直接力を入れるのは望ましくありません。
他には、膝や股関節の人工関節置換術を受けた場合です。フルスクワットをするのには時期尚早かもしれません。
ワークアウトメニューは一人ひとりに合わせて調整する必要があり、決まったメニューを取り入れなくてはいけないというわけではないのです。