基礎代謝に関する誤解
基礎代謝が高まれば何もしなくても(安静にしていても)脂肪が燃える(燃えやすい体質に変わる)というメディア情報は、明らかな誤解である。
脂肪の燃焼効率は空腹時に高く、食後に低い。運動時には低強度の有酸素運動中に脂肪燃焼効率が高く、高強度運動中に低い。
しかし、高強度運動後の脂肪燃焼量は安静時よりもはるかに増える。筋肉量が増えれば脂肪燃焼量は増えるが、筋肉1㎏あたりの燃焼量(燃費)は以前と同じか、むしろ燃費効率が高まり消費しにくい体質へと変化するであろう。
このような微妙な変化の検証はむずかしいが、感覚的に、また経験的に感じることであり、誤解も多くみられる昨今、誤解や偏見を解く意味で以下に解説することとした。
減量することを自動車に例えれば、中型車が小型車に変身するようなものだが、肝心のエンジンは大型車に変わり、ガソリン(ヒトでは脂肪)を多く燃焼させると言っているような矛盾である。
TVショッピングや雑誌などでの有識者の説明は、実際に測定した経験が乏しいような印象を受ける。
筋肉量が少し増えても脂肪量が大きく減少すれば、基礎代謝量は減少することを理解してもらいたい。
呼吸や生活スタイルと寿命との関係
さて、本題である特大ウミガメの基礎代謝量は、動きが非常に緩徐であることからわかるように、低値であり、最も長寿命である。ちなみにゾウガメ は150年ほど生存すると言われており、植物、サボテン、魚、甲殻類、くらげなどをバランスよく食べているらしい。
カメの寿命が長い理由ははっきりとは解明されていないが、呼吸や生活スタイルに関係があるようだ。生物は呼吸をし、体に酸素を取り込むことでエネルギーを生み出す。その一方で、使われなかった酸素は活性酸素となり、細胞を劣化させる要因となる。
呼吸数や心拍数の多い生き物であるい犬や 肉食系のライオンは活性酸素の発生量も多く、寿命が短い。カメは呼吸数や心拍数も少なく、基礎代謝がゆっくりで、成長スピードも遅く老化もゆっくりとなり長寿になるのだろう。