健康指標としてのHDLコレステロール

HDLコレステロールは善玉と言われるように、動脈硬化の進展を抑制する方向に寄与する働きがあり、禁煙、適量の飲酒、多量の運動によって血中濃度が高まる。

多種多様の運動・スポーツの中では、ウォーキング、ジョギング、エアロビクス、アクアビクス、スキー、スケートなどの有酸素性運動やサッカー、バスケットボール、ハンドボール、陸上競技などのスポーツ種目の実践によってHDLコレステロールが高まりやすいが、筋トレでも効果が期待でき、運動量が最も影響する。

心筋梗塞を起こすような人たちの血中濃度は40 mg/dl未満で、一般の健常者で50~70 mg/dl、痩せた運動習慣者では70~90 mg/dlであることが多い。中年肥満女性の平均値は60 mg/dl、中年肥満男性の平均値は55 mg/dl程度である。

 

 

健康リスク指標としてのLDLコレステロール

LDLコレステロールは悪玉と言われるように、動脈硬化を進展する方向に作用する働きがあり、高コレステロール食品や動物性脂肪の過剰摂取、食物繊維の不足、EPAやDHAを多く含有する青魚などの不足が危険因子になると考えられている。また、抗酸化作用の強い栄養素(ビタミンCやビタミンE、β-カロテン、ポリフェノールなど)を多く含む食品の摂取が推奨される。

運動・スポーツの中では、有酸素性運動やサッカー、バスケットボール、ハンドボール、陸上競技などのスポーツ種目の実践によってLDLコレステロールの加齢に伴う上昇が抑制されやすいが、効果の程度には個人差が大きい。肥満がLDLコレステロールの上昇に寄与すると考えられているが、肥瘦度の体格指数(BMI)との相関は極めて低く、BMI≧40の高度肥満者の中には正常値を示す例も多い。

 

 

健康指標としての中性脂肪

中性脂肪(triglycerides)はメタボリックシンドローム(metabolic syndrome: 代謝性症候群)判定に用いられる指標の一つで、安静空腹時で採血される特定健診などで検査値が150 mg/dl以上だと、メタボリックシンドロームの危険因子を保有していることとなる。正常値(標準値)は30~149 mg/dlとされている。血中の中性脂肪値は食後数時間後に上昇するので、採決前は朝食を摂らす、できれば前夜の食後から採血まで飲食しない時間を10~14時間あけることが勧められている。

体重を増やすことを重視するラグビーやアメリカンフットボールなどのアスリートは糖質や肉類(たんぱく質+脂質)を過剰に摂ることがあり、中にはアルコールを多量に飲む例もある。そのような飲食習慣が続いていると、500, 1000, 2000 mg/dlという高値を示す。一方、毎日の練習で30 kmほど走り込むマラソンランナーでは、体重(体脂肪)が著しく減少し、普通に食べていても中性脂肪は常に50 mg/dl未満になる例が少なくない。

一般的には、食べ過ぎ、飲みすぎ、運動不足の肥満者に150 mg/dl以上の中性脂肪を示す例が多い。中性脂肪値を標準範囲内に留めるには、野菜、海藻、きのこ、豆などに含まれる食物繊維を十分に摂取し、青魚を中心とした魚介類も積極的に摂取し、白米や麺やパンなどの糖質の摂取を適量に留めることが肝要である。

 

 

参考:e-ヘルスネット(厚生労働省)

生活習慣病予防